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高所作業車の作業と安全

高所作業車を用いた作業では、運転者自身が機械の最も高い位置で操作を行うことになる。そのため、災害が起きた場合には、やはり運転者自身が大きな被害を受けやすい。ここでは、作業計画段階・始業前段階・作業前段階のそれぞれについて、重要なチェックポイントを再確認する。
なお、高所作業車を用いて作業を行うときは、あらかじめ、作業場所の状況、高所作業車の種類および能力等に適応する作業計画を定め、その作業計画により作業を行うこと、また作業の指揮者を定め、その指揮者に作業計画に基づき作業の指揮を行わせることが必要である。
また、リスクアセスメントを取り入れた作業手順書を作成し、それらを活用することが大切である。

1)作業前調査と作業計画
 a.作業前調査時のチェックポイント
高所作業車を用いて作業を行う場合は、作業場所の状況について事前調査を行い、使用する高所作業車の種類・能力等に適した方法で行わなければならない。特に、公道上で作業を行うときは、通信・電力設備、高所作業車設置環境、周囲の状況などを把握し、作業計画を定める必要がある。定められた作業計画は、関係労働者に周知し、その作業計画により作業を行う。

  @高所作業車を安全に設置できる地盤状況であることを確認する。特に、マンホールの蓋・下水マス・L字溝等の有無を認識し、養生の必要性を判断する。(トラック式)
  A高所作業車の走行場所の地盤状況(段差の有無、勾配、障害物の有無)等を確認する。(自走式)
  B周辺の障害物の有無を確認し、必要に応じて安全に作業を行うことができる適切な措置を講じる。
  C架空電線(電力線・通信線等)の有無、離隔距離を確認する。
  D送電線等への近接作業時には、所轄の電力会社等の立会いにより、防護ネットの施設等の安全な作業方法等を現地で確認のうえ、指示に従い計画を立てる。
  E配電線近接作業時には、絶縁用保護具を使用する。
  F公道上では、通行車両や歩行者を勘案した安全配慮に努め、公衆災害の防止を図る。さらに、交通誘導者の配置(人員・箇所)について検討する。
  G公道上で作業を行う場合は、道路占有許可条件に沿った作業帯を検討する。

b.作業計画を変更する場合のチェックポイント
作業の進捗によって作業条件等が当初の条件と相違し作業計画の変更が必要となった場合には、速やかに新しい事態に対応した計画を作成し、関係者に変更した内容等を周知させる必要がある。
 @示された計画の変更が必要と思われる場合には、作業指揮者を通じて責任者に申し入れ、計画を変更してもらう。
 A発注者及び受注者が変更内容を相互確認し、作業工程を決定する。
 B変更内容について、全体ミーティングや作業前のツールボックス・ミーティング(TBM)、危険予知活動(KY活動)を活用し、作業者全員が同一レベルで作業できるように配慮する。
 C高所作業車の運転者は、変更された作業計画の内容と作業環境、条件等を自ら確認する。

c.賃貸または他の者が使用していた高所作業車を使用する場合のチェックポイント
賃貸(リース・レンタル)した高所作業車や他の者が使用していた高所作業車を使用する場合には、日頃使い慣れている機械を使用する場合とは異なる点についても注意を払う必要がある。

 @レンタル車両の使用前に作業現場をチェック
はじめに、どのような現場でどんな作業をするのかをしっかり把握し、理解しておくことがレンタル車両を導入する時の一番の基本である。設計図や作業手順書を見るだけでなく、事前に作業予定の現場へ足を運び道路の幅や交通量ならびに作業位置や範囲を確認することが大切である。
さらには、現場の状況に応じて誘導者を配置し、近くに電線がある場所は、電力会社に連絡し防護管を取付けることを考慮することが必要である。

 A作業条件に合わせた最適な機種の選択
一般に広い面積で連続作業を行うケースでは自走式高所作業車、離れた現場を移動しながら作業するにはトラック式高所作業車が効率よく作業ができる。さらに、現場での作業箇所の高さや範囲に合わせて最適な機種に絞り込むことが安全かつ効率化につながる。

 B車両の保守管理状態を自分自身でもチェック
レンタル車両は十分に整備されているのが基本であるが、使用者側の責任としても、定期的に検査が行われているかをサービス手帳の記録で確認することが大切である。
さらに、実際に動かして異常がないことを確認し、ある程度機械の知識が必要であるが、整備不良によるトラブルを未然に防ぐためには、そうしたチェックの知識や技術を持つことも重要である。

 C作業内容に合わせて工具・機材も準備
最後に、レンタル車両に付属している備品も忘れずにチェックする。もし、不良品があれば交換を要求し、不足しているものがあれば、その場で補充してもらう。
また、実際の作業では機械化車両に加え、数多くの工具・機材も使うため、実際の作業に必要な工具・機材の点検・準備も事前に行うことが、現場でのスムースな作業につながる。

D.安全帯の使用
 高所作業車(作業床が接地面に対し垂直のみ上昇し、または下降する構造のものを除く)を用いて作業を行う時は、当該高所作業車の作業床上の労働者に安全帯を使用させなければならない。安衛則第194条の18

これらを踏まえ、運転者自身が以下の点について再確認することが必要である。
・高所作業車の能力、特性及び使用上の注意点(取扱説明書などを参考に)
・高所作業車の整備及び定期自主検査等の状況(検査記録・整備記録などを参考に)
・高所作業車の固有の癖や弱点(始業前点検においても把握しておく。
・その他運転するうえで注意すべき事項等
 ブレーキ、クラッチ等の作動状態
 前照灯、尾灯の有無及び点灯確認
 ブーム、マスト、作業床、アウトリガー等の作動状態
 安全装置の作動確認



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